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高気密高断熱住宅に関する話題。 時事ネタなど。
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個人のFBノート(2014年12月6日 2:51)から許可を得て転載しています。

《実質賃金》

まず、ケインズの想定した「実質賃金低下による雇用の拡大」には、二つの前提条件がある。
1)名目賃金の下方硬直
2)物価上昇が雇用の拡大に依拠するものである事
 
1)は有名な前提であるので割愛するが、2)は「もし物価の上昇が生産の増加を犠牲にして起こるならば、物価上昇を支持する理由はない。」「物価上昇それ自体を目的とし、その救済的価値を過大に強調することは、「回復」の手段としての物価の役割について、重大な誤解につながりやすい。総購買力の増加によって生産を刺激することが物価上昇の正しい方途であり、その逆ではない。」(「Open Letter to President Roosevelt」1933年、邦題:ルーズベルト大統領への公開書簡)と述べられている点からも、容易に推測出来よう。
 
では、現代の我が国において、この前提は有効に機能しているであろうか?
1)については、私は否と考える。
以下の名目賃金・実質賃金・コアコアCPIの長期推移の図表をご確認頂ければ分かるが、1997年頃より「名目賃金」の崩落が始まっている。1990年のバブル崩壊の前年まで正規雇用/雇用者数率は80%を上回っていたが、1990年以降、同比率は80%を割り込み、現在に至るまで非正規雇用の拡大が統計より確認出来る。
労働力調査を確認すると、
・1984年年平均    正規雇用者数3,333万人 非正規雇用者数604万人
・2014年7月~9月期 正規雇用者数3,305万人 非正規雇用者数1,952万人
という具合で、過去30年間、正規雇用者数は全く伸びておらず、非正規雇用者数は約3倍まで膨らんだ。当然、正規雇用が伸びた時期もあるが、雇用者数の内非正規雇用の占める割合は増加の一途である。(2014年7月~9月期時点 正規雇用62.9%、非正規雇用37.1%)
ご存知の通り、正規雇用者と非正規雇用者の賃金格差は激しく、かつ、多くの社会保障制度を利用出来ない点やOJTなどの機会に恵まれないなど、相当不利条件での雇用契約となっている。
このような状況を踏まえて、「名目賃金が下方硬直的である」などとは、とても思えないのである。
 
2)についてはどうか?
消費税増税や社会保障費上昇による負担増、円安によってもたらされた輸入物価上昇による物価上昇が、現在の物価上昇の原因であり、それはIMFの調査報告により「物価上昇率「ゼロ近辺」 IMF、円安影響除き試算」(以下、資料参照)との報道がなされた事でも確認出来る。
つまり、国内雇用拡大や名目賃金上昇に依拠した物価上昇ではなかったという事である。
 
こうした事からケインズの想定した「実質賃金低下による雇用の拡大」の前提は崩れた。このような状態での実質賃金低下は、「支持する理由がない」と言えるのである。バブル崩壊以降の我が国の経済政策は、名目賃金を伸縮的なものとし、そして、「伸縮的賃金政策の主たる帰結は物価の激しい不安定化であり、その激しさたるや、我々が暮らしているのと同様の経済社会においては、おそらく事業計算を甲斐無くしてしまうほどのものであろう。」(「The General Theory of Employment, Interest and Money」1936年、邦題:雇用、利子及び貨幣の一般理論)から、容認出来ないのである。
私は「実質賃金の低下」が問題なのではなく、「名目賃金が伸縮的になった事」と「物価上昇が総購買力を犠牲にしている事」を問題と考える。
 
今年4月、賃金上昇がなされたとの報道が大きく取り上げられたが、内閣府の資料によると、「今年の定期昇給を含む賃金引上げ率は 2.07%となった。賃金引上げ率が2%を超えたのは1999年以来 15 年ぶり」とした上で、「今年は賃上げ分が0.39%、定期昇給分が1.69%となっている。定期昇給分は大きく変動しないため、ベースアップを含む賃上げ分もここ15 年で最高水準にあるものと考えられる。」との事であり、さらに、「2013 年の一般の所定内給与が対前年比±0.0%と横ばいであったこと、地方公務員給与削減の反動の影響が約0.2%あったことなどを踏まえると、今年の賃金引上げによって一般の毎月の所定内給与は 0.4%程度(1,200 円程度)引き上げられたものと考えられる。」と分析されてる。
つまり、定期昇給分を除く賃金上昇は、全体で0.39%。その内、公務員給与アップが0.2%、民間は差し引き0.19%の賃金上昇というのが、実際の数値なのだろう。尚、公務員給与アップは東日本大震災以降、カットしていた2%分を戻しただけのことである。
 
 
 

《非正規雇用、少子化、女性の社会進出》

近年の非正規雇用の拡大は、団塊の世代の定年退職に依拠する部分もあるが、20代~30代の女性が非正規雇用として働き始めた点にも、その原因がある。
バブル崩壊頃より「男性雇用者と無業の妻とからなる世帯数」と「雇用者の共働き世帯数」が均衡するようになった。1980年代後半からこの兆候は現れているが、1990年以降、完全にこれが均衡し、1997年以降、「雇用者の共働き世帯数」が拡大の一途となり、「男性雇用者と無業の妻とからなる世帯数」は減少の一途となっている。この1980年代後半から2000年辺りにかけて、統計で確認出来る範囲では、最も婚姻件数が上昇したのであるが、出生数は全く伸びず、1997年頃より出生数も減少に転じ、その後は減少の一途である。
女性の就業率を年齢別で確認してみると、20歳~35歳の年齢層の就業率が年々上昇しており、この頃より晩婚化・第一子出産年齢の高齢化がそれまで以上に上昇している。
2013年時点での非正規雇用で働く女性1,296万人の内、26.8%が「家計の補助・学費等を得たいから」という理由で就業しており、この数は、男性の所得が家計を支えられる程のものであれば、おそらく就業しなかったではなかろうかと思われる。「家事・育児・介護等と両立しやすいから」という15.9%の層もおそらく近いものがあるであろう。
 
このように考えれば、女性の非正規雇用拡大は、輝く社会進出と言えるようなものではなく、かつ、少子化を促進する事にもなり兼ねない
誤解されたくないのは、私は女性に働くなと言っているのではない。家事に専念するもの良し、働くも良し。その意志に応じて、選択出来る環境をしっかりと作る事が必要なのではないかと言いたいのである。そして、出来うる事なら、そういう余裕のある収入の下で、少しでも苦労を少なくし、育児に専念出来る環境をと願っているだけである。
 
また、非正規雇用そのものが全て悪いとも思わない。自分自身のやりたい事に応じて、働き方の選択肢はいろいろある方がいい。しかし、否応なく、働かざるを得ない状況で、非正規雇用が拡大する事は、果たして企業にとっても、労働者にとっても喜ばしい事なのであろうか?
 
 
さらに、非正規雇用を掘り下げよう。
例えば、ボーナスである。第一生命経済研究所によると、『労働者のおよそ3分の1はボーナス支給対象ではなく、労働者の半数以上はボーナスが10 万円以下である。』『支給対象者が限られた影響もあり、賞与支給総額は 1997 年の6割強にまで低下しており、そもそもボーナスのもつインパクトが低下している。』(「盛り上がらないボーナス商戦」より)と2014年9月に報告されている。
言うまでもなく、非正規雇用者でボーナスを得られる人は少ない。統計上は非正規雇用者の内32.4%しかボーナス対象者ではないのである。
これでは消費が伸びない。近年も横ばいであり、消費税増税後はマイナス傾向が顕著である。
 
前回の消費税増税時である1997年前後の正規雇用・非正規雇用を確認すると、
【雇用者数】(以下、年平均)
1996年 5,237万人
1997年 5,349万人(前年比112万人増)
1998年 5,338万人(前年比11万人減)
【正規雇用】
1996年 3,800万人
1997年 3,812万人(前年比12万人増)
1998年 3,794万人(前年比18万人減)
【非正規雇用】
1996年 1,043万人
1997年 1,152万人(前年比109万人増)
1998年 1,173万人(前年比21万人増)
となっており、今年非正規雇用拡大による雇用者数改善がなされたからと言って、将来その非正規雇用が正規雇用になるという保証はない
 
そのような正規雇用がなかったので非正規雇用に就業した人達を「不本意非正規雇用」と言う。
非正規雇用の数を確認しつつ、不本意非正規雇用を見ると、
【15~34歳】
この層は非正規雇用全体の28%を占め、533万人(前年比18万人増)
内、不本意非正規雇用は、23.07%(123万人)
【35~54歳】
この層は非正規雇用全体の39.5%を占め、752万人(前年比39万人増)
内、不本意非正規雇用は、17.95%(135万人)
【55歳以上】
この層は非正規雇用全体の内、32.5%を占め、620万人(前年比35万人増)
内、不本意非正規雇用は、13.38%(83万人)
非正規雇用が93万人も増加し、不本意非正規雇用が341万人もいるという事実は労働市場において、非常に由々しき問題である。
若干の減少傾向にはあるが、1997年の経緯を思えば、楽観も出来ない。
 
一般職業紹介状況を確認すると、有効求人倍率は1.09と東日本大震災直後の0.61に比べれば、相当に改善しているように見える。正規雇用に限ってみれば、0.67であり、これも震災直後の0.59より改善している。しかし、この正規雇用について就職件数を確認してみると、震災直後は73,666件であり、直近の件数は73,152件と、さっぱり増えていない。2012年以降、有効求人倍率と就業件数の間に大きな開きが生じ始めたのであるが、この原因は現在確認中である。
参考意見として、以下の資料に人手不足についての記事を二つ掲載しておく。
 
 
調べてみて感じたが、労働市場は非常に範囲が広く、経済だけでなく、法制度も大きく関わっている非常に複雑な分野である。
上記の記述の中にも、私の認識違いがあるかもしれない。
しかしながら、雇用の安定化と名目賃金の上昇という課題は、大きく関連する内容であり、統計上、少子化の歯止めになる可能性を感じた事も事実である。
 
より多くの人々の議論のたたき台になってくれると有り難いと思う。
 
 
 
(以下、資料)
・「Open Letter to President Roosevelt」(1933年、邦題:ルーズベルト大統領への公開書簡、訳:松川周二)
http://r-cube.ritsumei.ac.jp/bitstream/10367/3139/1/e60_2_matsukawa.pdf
・名目賃金、実質賃金、コアコアCPI
http://urx2.nu/eTOF
・労働力調査 長期時系列データ
http://www.stat.go.jp/data/roudou/longtime/03roudou.htm
・雇用形態別の賃金
http://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/chingin/kouzou/z2013/dl/06.pdf
・物価上昇率「ゼロ近辺」 IMF、円安影響除き試算
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20141113-00000003-asahik-soci
・最近の賃上げの動向と実質賃金の評価について
http://www5.cao.go.jp/keizai3/monthly_topics/2014/0919/topics_035.pdf
・消費増税の陰で国家公務員の給与が4月から8%増で2年前の水準へ
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20140410-00000011-wordleaf-soci&p=1
・労働市場の各種統計データ等
https://docs.google.com/presentation/d/1Jx0UN-I5xNXHYpKcGBLWaEjefssnU2ZIQ379PA_ee1Y/edit#slide=id.g539eafbc2_043
・団塊世代をめぐる「2012年問題」は発生するか?
http://www.stat.go.jp/info/today/032.htm
・ 盛り上がらないボーナス商戦
http://group.dai-ichi-life.co.jp/dlri/rashinban/pdf/et14_140.pdf
・家計調査報告-平成26年(2014年)10月分速報-
http://www.stat.go.jp/data/kakei/sokuhou/tsuki/pdf/fies_mr.pdf
・「非正規雇用」の現状と課題
http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000046231.html
・おかしくないか? 日本企業の8割超が感じる「人材不足」
http://www.j-cast.com/kaisha/2012/06/19136212.html
・「採用する気のない求人」によって嵩上げされる「有効求人倍率」と、でっち上げられる「人手不足社会」
http://blogos.com/article/87561/
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